約 14,822 件
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/801.html
「学園都市にいる学生達の為に『中』と『外』を比べて見せるようにしてるわけだけど、そうやって『外』か らやって来た企業にしてみれば、せっかく普段は見ることの出来ない学園都市に入ったんだから、自分 たちが持ち込んだ技術や情報を見せるだけじゃなく、都市内にあるものを見ようとしたって不思議はない じゃん。だけど、都市内ならともかく『外』から来た部外者に貴重なデータをそう簡単には見せるわけが無 いだろうし、そうした外部向けの為に社会見学祭に参加している各企業や研究機関の内容を紹介してる のが『パンフレット』ってわけじゃん」 黄泉川の言葉に上条が聞き返す。 「『パンフレット』が作られた理由は分かりましたけど、別にそんなの俺らに教えてくれててもいいんじゃな いっすか?」 「いやいや、そうもいかないじゃん。学園都市が持っていたり都市内の研究機関が保有する技術や情報 は管理が厳しいからね。ちょっとした物でも取り扱いにはうるさいのよ。だから、サンプル品扱いで出され ている物の遣り取りには色々な制約が絡んでくるじゃん。その一つである『パンフレット』だっておいそれと は上げるわけにはいかないんじゃん」 「え? あれって、サンプル品なんですか?」 「そうじゃん。いくら簡単な紹介だからって、学園都市にある技術の一端を解説してるんだよ? 然るべ き規制を掛けない事にはそこから辿られた情報を持って行かれる事だって有り得る訳じゃん。そうした事 を防ぐために、学園都市にある印刷・出版関係に属する所が集まって作るのがあの『パンフレット』なわ けじゃん」 「なんか凄そうっすね」 「実際凄いじゃんよ。普通に読むのはいいけどそれをデータとして残そうとするのは出来なくなるようにし てあるし、時間経過とともに文字のインクが劣化していくから祭りが終わった後に『外』に持ち出そうとして も意味が無くなる様に出来てるじゃん」 ちなみに、黄泉川が語るとおりである。 肉眼で見る分には気が付かないが、特殊なインクと製紙を使った製本のために、不可視域のレベルで 出る反射光がちょうどジャミング効果のように働き、対象を光学的に捉えるカメラはもとより、電子的に保 存するデジタル機器に対してもコピーを取る事は不可能と言える。さらに、紙自体も特殊な処理がなされ ている為にページに直接上書きして内容を残す事も出来ず、加えてインクとの反応により祭りの期間が 終わる頃には文字が識別できないようになり、ただの分厚くて重い紙の束に成り変るほどである。 「そうやって使われている学園都市の技術に対して対価を払う必要があるじゃん。外部から来てるところ は自分たちの情報を公開したり、代金を支払う事で手に入れることが出来るけど、学園都市の学生に対 しては求められる事が違うんじゃんよ」 「どう違うんですか?」 「会場となっている全ての場所を回って一定数以上の出展ブースを見て回ってそれをレポートに纏める 事と、最低一つ、出展してるところと自分個人が契約を結んで企業なんかの研究や開発に協力する事が 条件になってるじゃん。期間中に全ての会場を回ろうとするとなるときっちり計画しとかないとスケジュー ルに追われるだけになっちゃうだろうし、そもそも能力の高い学生は学校側が契約してる企業以外の所 と個人的に契約を結ばれる事を嫌う事が多いからね。申請しても学校側が許可しないってことも多いじゃ ん。それに、個人的に契約を結ぶ事が出来なかった場合にはペナルティが科されることになってるから ね。普通に考えると割に合わないって思えるじゃんよー」 確かに、黄泉川の言うとおりである。 ここまで聞いたところでは、デメリットばかりが目立っている様に思えてくる。 それほどのリスクに対して得る程のものがあると言うのだろうか? 「そんなに大変なのに何で吹寄は『パンフレット』を貰おうとしたんだよ?」 上条からの問いに対し、吹寄の答えははっきりしない。困ったように 『ええと…、あの…』 等と歯切悪く 返すだけである。 そんな彼女の反応を見てニヤニヤしながら黄泉川が爆弾となる言葉を述べる。 「いやいや、学生にとってそう悪い事だらけとも限らないじゃん」 「ちょっ、せ、先生!」 慌てて吹寄が止めようとするが、時既に遅し、 「その『パンフレット』を持っている生徒は何処かしらと契約を結ぶって言ったじゃん。だから、自分達と契 約を結んで欲しい所は割と優遇してサンプルを渡してくれそうなもんじゃん。最終的に何処と契約を結ぶ かは生徒の自由意志になってるから、上手くすればサンプル品の山を持ち帰ってくる事だって出来る訳 だからね。リスクはでかいが当たれば得るものもでかくなるって訳じゃん」 「そ、そんなに欲張ったりはしませんよ!」 黄泉川の説明に思わず大声を出してしまう吹寄。 だが、彼女のそんな態度が今の解説が当たらずとも遠からじ、といったところである事を表してしまって いる。 ニヤニヤと笑い続けている黄泉川はもとより、『そっかー、サンプル品狙いかー。吹寄らしいっちゃらし いよなー』 と呟く上条の二人に見られ続けた吹寄は、 「と、とにかく、私はこれから忙しいから貴様もさっさと集合場所に向かいなさいよ!」 などと叫ぶようにして足早に立ち去っていく。 そんな彼女を見送った上条も、『じゃあ、そろそろ俺も行かなきゃ……』 と言いながら黄泉川と別れて歩 き出そうとする。 だが、ガシッ、という音と共に襟首を掴まれて黄泉川のもとに引き寄せられる。 見れば、笑顔だが目は笑っていない様子。 「ふっふっふっ、しょ、う、ね、んー? ウチのことを気付かなかった事に対して何にも無しで済ますつもり なのかー?」 というかマジでコワイですヨ黄泉川先生? っていうか肩に置かれた手がギリギリって、痛タタタタ!? 「ちょ、待って待って先生! だからそれは先生がいつもと違う格好だったから分からなかったんですっ てばって、痛、痛いですって、ギブギブ、ギブ!」 「それはあんな命懸けの遣り取りをしたってのに少年がこれっぽっちも覚えようとしてないからじゃんよ。 あとこんな窮屈な格好はウチだってしたくてしてる訳じゃないんだよ学校が公式の場に出るんだからきち んとしろって煩いから仕方なくしてるだけじゃん!」 思わず付いて出た一言がどうやら地雷を踏んだらしく、さらにギリギリと締め上げられていく上条。 薄れゆく意識の中でどうにか言葉を紡ぐ。 「きょ、今日は言わないでおこうと思ってたけど言うぞー。せーの、不幸…だー……」 どうにかこうにか黄泉川の機嫌を直してもらった上条は、ようやく解放されるとほうほうの体でクラスの 集合場所となっている所へ辿り着く事が出来た。 見れば、どうやら自分が最後だったようである。 「もう! 遅いですよ上条ちゃん! 迷子になっちゃったかと心配しちゃったじゃないですか!」 担任の小萌先生から早速叱られる上条。 「いや、これにはいろいろとですね先生……」 「そんな事は良いですから早く皆の所に言って下さいなのですよ!」 後ろからグイグイと押されながら注意が続く。 クラスの輪に混じった上条が見回すと、吹寄と目が合う。が、フン、とばかりに目を逸らされる。 そんな上条に対して、『イヤー色々大変だったみたいだにゃーカミやん』 などと声が掛かるがこちらは 徹底的に無視、無視の方向でいく。 そんなこんなで小萌先生による点呼も終わり、最後の諸注意が話されている。 「……ですから皆さんは自由行動で見学してもらって構いませんけど、できれば二、三人のグループで行 動する事をお勧めするのですよー。一人で動くのも良いですけど、皆で相談しながら見て回ると自分が気 が付かなかった所も知る事が出来るかもしれませんからー。後ですね、……」 なおも諸注意を語ろうとする小萌先生だが、その時、会場各所に設けられているスピーカーが、アナウ ンスの音を流し始める。 『ただ今よりーぃ…ぃ……、第○○回ーぃ…、社会見学祭をーぉ…ぉ……、始めます…ぅ……』 途端に周囲がざわつき始める。 先程まではまだ人の動きも少なかったが、今は活発に動き回り始めた為に上条たちの一クラス分の人 数がじっと立ち止まったままでいると、大きな交通妨害となりかねない。 それを見た小萌先生、仕方なく話を切り上げると 「もう! しょうがないのでお話しはこれで終わりです! 皆さん怪我などしないように見て来て下さいねー」 『はーい!』、などと途端に元気に返事をする生徒たち。現金なものである。 「それじゃあ今日の終わりの集合時間まで、解散します! 皆さん楽しんできてくださいなのですよー」 その言葉が終わるか終わらないかの内に動き出すクラスメイトたち。 めいめいがそれぞれ考える予定にそって別れて行く。 ある者達は比較的固まってグループで動こうとし、別の者は二、三人で連れ立って、また他の者は一人 でと、皆思い思いの方法で祭りに参加していく。 その多くは常と変わらぬ行事を楽しみ、ある者はそこに隠された意味を知ることになり、またある者は 人知れず騒動に巻き込まれることにもなる。 されど、今はただ、これからの予定に心躍らせて歩き出すのみ。 何はともあれ、社会見学祭、その始まりである。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/781.html
一瞬で情報だけを伝えてくる無線機。 上条はそれを聞きながら緊張した表情をしていたが、黄泉川はそれを解すように優しく言った。 「何緊張した顔してるじゃん。ここは遠いんだから私たちが向かう必要は無いじゃん。 幸い、警戒態勢はコードイエローだし、私たちは私たちの仕事を…」 と、黄泉川が言い終わる前にもう一度無線機がノイズと共に鳴る。 『なお七十三支部所属、黄泉川及び上条は至急現場に急行せよ。以上』 驚きの表情をもらしたのは上条だけでは無い。 「なっ…!こちら七十三支部の黄泉川! どういうことじゃん!私はまだ別として、コイツはまだなりたての新兵だっていうのに」 しばらくして返事がくる。 『命令は上層部の決定だ。こちらに言われても困る…』 相手のオペレーターも悔しそうに言う。 「くそっ!上条!今から現場に行くけど、私の後ろから絶対離れるなよ!」 「は…はいっ!」 現場に向かう黄泉川の車で、上条は状況の整理をする。 第七学区、電撃使いと聞いて少し嫌な予感がした。 (まさか…御坂がとは思うけど…) 不幸体質の上条からすれば、大抵このような予感はいつもあたってしまうのだが、 『本部から各隊へ、暴走者は女子中学生、レベル4大能力者。現場の民間人避難率は60%』 大能力者と聞いて上条はひとまず安堵の溜め息をついた。 しかし仮に美琴が暴走していないとしても、臨時風紀委員になった彼女が関わってくるのは眼に見えている。 (無茶はしないでくれよ…御坂!) 「各隊急いで配置に!俺達は一番先頭を固めるぞ、続け!」 才郷は早くも現場で指揮を取っていた。 しかしそこまで階級の高くない自分ができるのはごく少人数だ。 自分の指揮を聞く人間を連れて自分が前に出るしかない。 分隊を連れて現場の中心地へ進むにつれ、街の状態がどんどんと荒れていく。 飛び散ったガラスに、倒れてショートした警備ロボット。 そして、その荒地の真ん中に立っているのは。 「たすけて…ください…」 まただ…と才郷は思う。 (また泣いている…) ここ最近増えた能力者の暴走事故。 何度も起こる事故、その度に出動している才郷はあることに気付いていた。 自身は能力者ではないので、暴走と聞いてもいまいち理解ができない。 話によると能力者が気を抜いた瞬間に能力が出てしまうらしいが、それは意識して止めることはできるという。 そうだとすれば暴走とは言っても、仮に今回のこの電撃使いなら漏電程度で済む話なのだ。 にも関わらず、街の物を壊す、他の生徒や警備員、風紀委員にまで危害をもたらす。 最初才郷も能力者が適当に暴れた後の言い訳だと思っていた。 しかし、ある事故でいち速く現場に駆けつけると、件の能力者は泣いて自分達に助けを求めてきた。 それ以来才郷は危険を冒してでも現場中心地に駆けつけ、暴走者を確認しているわけだが。 「私の意志じゃ無いんです… 本当に、身体が勝手に…操られているみたいで…」 (これも他の能力者と同じ、身体が勝手に、操られているみたい… どうやら…暴走、の一言で片付けられる事件じゃ無いな) 見れば女子中学生の腕には緑の腕章が着いていた。 「君は…ジャッジメントか」 少女に向かって叫ぶ。 民間人の避難が完了し、がらんどうとした街に自分の声がやけに響く。 「そうです…でも、臨時のジャッジメントで、今日が初めてだったのに…どうしてこんな…」 うわぁぁ─と少女の泣き声が響く。 才郷は銃を下ろすように指示し、 「シールドを持った奴を前にゆっくり進もう」 そう言いながらも、自分はシールドの前に出る。 才郷一人を先頭にシールドを持った隊員が横一列に並ぶ。 応援の部隊も到着したようで、人数もかなりのものになっていた。 (俺の出しゃばりとは言え、このカリスマ的なとこ、黄泉川さんに見せてやりたいぜ) くだらね、と才郷は自嘲し鼻で笑った。 「今からそっちに行くから、できるなら能力を抑えてくれ」 「はっ…はいっ!」 少女のほうも泣き止み、少し落ち着いたようでしっかりとした返事が聞こえた。 さすがにこの人数がシールドを持って向かってきたら怖いだろうと思い、 才郷は後ろの2人にバックアップを頼み残りは待機してもらう。 じりじりと、少女との距離を詰めていく3人。 「何とも無いか?」 近付きながら少女に声を掛ける。 「はい…今のところはさっきみたいな感じは無いです」 不安そうに答える少女。 距離はあと15m程。 (しかし保護した後はどうしようか) また暴走しないとは限らない。 しかし、保護しない限りはこの事件を解決できなければ、この少女を救うこともできない。 とにかく保護が最優先だと、才郷は思い直した。 しかしあと10mとなったところで、少女の表情が変わった。 「─ッ!ダメです!離れて!」 そう言うや否や、少女の身体から青白い光がバチンと弾けた。 光は槍のように噴出され、3人に向かった。 咄嗟に才郷の後ろにいた2人が、シールドに身体を傾けて前に出る。 電撃はシールドに当たったが、それを持っていた2人は身体だけ10m程吹き飛ばされる。 「くそっ!」 才郷は残されたシールドに手を伸ばす。 「─ッ!」 しかし、シールドに触れるとバチンと音がして腕が跳ね返された。 自分の腕が奇妙に震えているのに気付くと同時に、しびれるような痛みが走った。 「やだ…いやだ…ごめんなさい、ごめんなさい」 少女が怯えるように呟きながら、それでも身体からバチンバチンと火花を散らせて近付いてくる。 言葉や表情と行動が矛盾するのが、ここまで恐ろしいとは思わなかった。 少女が涙を流すが彼女の手はそれを拭うことも許さず、その手を才郷にまっすぐに向けた。 ここで、才郷はもう一度あることを確認できた。 やはり、暴走ではなく意図として攻撃をしているということ。 能力だけでなく、身体の自由もきかないということ。 (わかったはいいけど。これじゃぁ…まずい…) 自分の生命がでは無い、今のこの状況だ。 警備員3人が能力者に向かったところ能力者が警備員を攻撃、そして警備員へさらに危害を加えようとしている状況。 誰かが発砲してもおかしくない。 判断基準はわからないが、実弾の使用だって考えられる。 しかし、流石に頭が回らない。もし名案が思いついても今の自分には行動できる力が無い。 少女の手が青白い光を帯びる。 「いやだっ!イヤだイヤだイヤだ! やめて、もう殺して! 拳銃くらい持ってるでしょ!もう片方の腕は使えるでしょ!」 少女の悲痛な叫びが響く。 それでも才郷は自分が攻撃されても誰も発砲しないことだけを祈りながらその時を待った。 しかし、少女の腕はガクンと別の方向に向けられると、そのまま電撃を放った。 才郷の後ろで電撃のバチバチという音が聞こえる。 少女は身体だけが慌てるようにバックステップを取り、才郷から離れた。 才郷が呆気に取られてあたりを見回すと、倒れている警備員の他に二つの人影があった。 小柄な人影、目をこらしてよく見ると、見覚えのあるブレザーの制服に腕には緑の腕章。 2人とも見覚えがあった。 ツインテールの少女は確か、風紀委員なのにことあるごとに事件に首を突っ込んでは始末書を提出しに第二学区へ来ていた。 そしてもう1人のショートヘアの少女は、よく学園都市内のモニターにも映る少女。 確か超能力者で、常盤台中学校の第三位。 「御坂美琴…」 「大丈夫ですか!?」 才郷の呟きは彼女達には聞こえていないようだった。 「あ、あぁ…俺は大丈夫だ」 他の隊員を…と才郷が言いかけたところで、美琴が驚いた表情で電撃を飛ばした。 電撃の飛ばしたほうを見ると、道路の中心で雷のように電気が散っていた。 その先にはさっきの少女。 「ちょっとアンタ!」 美琴は少女に向かって叫ぶが、あることに気付く。 「あれ…アンタ試験の時の…」 「御坂…さん」 少女も驚いた表情で美琴を見る。 「どういうつもりよ!臨時のジャッジメントにもなって」 美琴は勘違いしているためか、声を荒げ、髪の毛の先からバチンと電流をはしらせる。 咄嗟に才郷が止めに入った。 「待て、彼女の意志じゃ無いみたいだ。 君だって見ただろう?さっき君と彼女が距離を取った時、彼女は俺のほうを見たままだった」 あっ─と美琴はこの前黒子が言っていたことを思い出す。 風紀委員や警備員を狙っていて、暴走とは言い難い。 「確かに、あなたの方に手を向けていて、私を見て無いのに突然私の方に手を向けた…」 「とにかく、彼女の本望じゃない。 彼女を止めるなら、彼女に怪我をさせないようにしてくれ」 我ながら無茶な注文だと思う。 「わかりました」 それでも美琴は、才郷の眼をしっかりと見ながら力強く返事をした。 「下がっていて下さい。 あと、後ろでシールド持っている警備員の人達も下げて下さい。 できるだけ相殺させるようにはしますが、もし電撃が飛んでしまった時、 電撃をシールドで防いでもさっきの人のように身体に電気が流れて感電します」 「あぁ、了解した」 最新鋭の対能力者兵器を揃えた警備員が、女子中学生に指図されるのに納得できない者もいるかもしれない。 しかし、才郷の中では今は警備員の下手なプライドよりも事件解決が最優先だ。 プライドのためにここに残っても彼女の邪魔になるだけだろう。 仕方が無い、いくら教師とは言っても所詮は無能力者だ。 ゆっくりと立ち上がって歩き出す、だがさっきシールドに触れて感電したのが全身に回ったためか、足がおぼつかない。 ふらふらと歩いていると、本隊のほうから2人の警備員が走ってきた。 1人は自分の分隊の者で、もう1人は 「才郷!えらく無茶するじゃん」 「黄泉川さんには言われたく無いです」 「とにかく、安全なところまで行こう。肩貸すじゃん」 言う事の聞かない腕を黄泉川へ回す。 「本隊を下げて下さい。 今第三位の御坂美琴がなんとか抑え込もうとしてくれてますが、流れ弾があるかもしれません」 「なに!?」 黄泉川が顔を上げて後ろを振り返る。 「おい、才郷を頼む…」 「黄泉川さん!」 慌てた様子で現場に戻ろうとした黄泉川を才郷は止めた。 「黄泉川さんの気持ちはわかります。 でも待って下さい。今回の事件ばかりは、俺たちにはどうすることもできません」 「何を根拠に言ってるじゃん!」 「今まで能力者の暴走で片付けられてましたが、 事件を見ていくうちにどうも暴走だけでは片付けられない事がいくつもあります。 簡単に説明すると、能力者は本当に操られているかもしれません」 「操られている…?」 「とにかく、自分の意志でも無いのに暴れて、 大量のアンチスキルに囲まれて攻撃されるなんて、生徒にとって理不尽極まりないです。 かと言って、俺たちが攻撃しないでただただ能力者が静まるのを待つのも危険です」 ぎりぎりと黄泉川は奥歯を噛み締める。 黄泉川だって変なプライドの為にここで悩んでいるのでは無い。 子供を戦場に向かわせる。この行為が今の黄泉川を悩ませていた。 「とにかく能力者に任せるしかありません。俺たちがいても、邪魔になるだけです」 くそ─と呟いて、黄泉川は才郷を支え直す。 無線で本隊に下がるように指示して、のろのろと本隊のほうへ向かった。 歩き出したのと同時くらいに、3人の後ろでバチバチと電気の走る音が聞こえ始めた。 美琴は珍しく苦戦していた。 いくら超能力者とは言え、相手の出す電撃を周りに飛ばないように打ち消しながら、 そして相手へのダメージを最小限にするよう戦えば苦戦するに決まっている。 「黒子!アンチスキルの位置が近過ぎるわ!もう少し下がるように言って来て欲しいんだけど!」 近くでサポートしてくれている黒子に向かって、電撃を放ちながら叫ぶ。 「了解しましたの!」 短い返事と共に黒子が消えた。 倒すだけなら楽なのに… (何かを守りながら戦うってこんなに難しいことなのね…) とにかく相手に隙があれば軽い電流を流して身体を動けなくする。これが基本方針だ。 (操られても身体が動かないなら操りようがないでしょ!) とは言え、もし相手の身体の状態が関係なく動いたら、例え痙攣した身体でも操れるとしたら… そんなことを考えるのはとにかく相手に一撃を当ててからだ。そう言い聞かせるように電撃を放つ。 相手の少女は身体を捻って回避する。身体の動きは一流だが、その表情にあるのは恐怖と絶望。 それでも容赦なく美琴に向かって、そして警備員の本隊のいる方向へ電撃を放つ。 「ねぇ!少しは能力抑え込めないの!?」 淡い期待を寄せて叫ぶ。 しかし少女のほうは涙を流すだけ、美琴の声は届いていない。 仮に抑え込めても、今の彼女では到底できないだろう。 「こうなったら…」 美琴はポケットからコインを取り出し、近くの道路工事現場に置いてある紙袋に放った。 超電磁砲ではあるが、威力は抑えてある。 それでもコインは工具をまき散らしながら紙袋を貫いた。 紙袋の中身はコンクリートの粉、美琴と少女の間に粉塵が舞い上がる。 少女を包み込めるほどの煙幕ではないが少なくとも目の前、つまり少女からは自分とその後ろの警備員本隊は見えないだろう。 見えなければ電撃は狙いを定められない。 仮に闇雲に撃たれても自分と本隊に向かうのを打ち消せばいいだけだ。 (これなら…いけるっ!) シールド隊を横一列に並ばせた本隊は困惑した空気が流れていた。 その中上条は、知り合いのいない不安感とピリピリと緊張した雰囲気で居心地が悪かった。 現場に着くなり、近くの隊員に状況を聞いた黄泉川は焦った顔で走り出し、自分にはここで待機しておけとしか言わなかった。 待機している途中、50m程先にいた警備員のシールドを持った部隊が、なぜかぞろぞろと後退し始め、今は上条のすぐ目の前まで来ている。 どうやら怪我人が出たらしく、ついさっき担架で2人の隊員が運ばれてきた。 応急手当をしている一角は救護班が慌ただしく動いている。 自分は本当にここにいていいものなのか、そう思った時、自分達のいる道路のかなり奥から、聞き慣れたビリビリ音が聞こえた。 「おい、どこかの部隊が戦っているのか」 「いや、それはないだろ。例の暴走者に向かったのは3人。 うち2人は戦闘不能でさっき運ばれてきたし、残りの1人も今運ばれている途中らしい」 「なら…ジャッジメントか?最近共同捜査とかでかなり介入してきてたが」 「かもしれん…くそっ!俺たちは所詮無能力者だよ」 近くの隊員達の会話が耳に入った。 ジャッジメントとなれば、この地域なら美琴たちの可能性が高い。 そしてそれを裏付けるかのタイミングで聞き慣れた声が響いた。 「アンチスキルの皆さん!ジャッジメントですの! 今、この先でおね…わたくしの支部の者が戦っていますの。 同じ電撃使いですので飛ばす電撃を相殺できるようですが、流れ弾があるかもしれませんのでもっと下がって下さい」 それを聞いた警備員達はお互いに顔を見合わせた。 上条は急いでヘルメットとフェイスマスク。 さらにゴーグルを付け、近くの隊員に紛れる。 隊員達の隙間から様子を伺うと、見慣れた制服に身を包んだツインテールの少女が、シールド隊の前に立っていた。 さっきまでざわざわと騒がしかったが、咳払い一つでも響きそうなくらいの静けさがはしる。 険悪な空気ではない、どちらかと言うと困惑の空気が本隊に流れていた。 「お願いします。事件の被害を最小限にするためですの…」 少女が頭を下げる。 それでも本隊は動かない。 しかし、子供のように駄々をこねて動かないのではない。 張り詰めた空気の中、少女の後ろから声がかかった。 「その子の言う通りじゃん!本隊を下げろ!」 え─と少女が驚き、後ろを振り返る。 上条も目を凝らして見ると、3人の警備員が立っていた。 間の隊員は身体が動かないらしく、両脇から支えられている。 「とにかく!今私たちが行ってもコイツみたいになるだけじゃん。 そうだからって、むやみに発砲もしたくない。被害を最小限にするためにも、私たちにできることをやるじゃん!」 黄泉川が言い終えてからもしばらくは膠着状態だったが、1人の隊員が叫んだ。 「戦闘地域に誰も入れないように東側の道路を固める、分隊は俺に続け」 それに続くように、次々と指示が飛ばされる。 「我々は西側を固める、行くぞ」 「民間人の救護にまわるぞ」 「逃げ遅れが無いか調べる」 「戦闘後の能力者、及び戦っているジャッジメントの保護の準備急げ!」 次々と散っていく隊員達を見て、少女は黄泉川達に頭を下げた。 「ありがとうございます」 「当然のことじゃん。それよりも、君もサポートに向かったら?」 「はっ…はい!本当に、ありがとうございます」 少女はもう一度頭を下げてから消えた。 どうやら空間移動系の能力者だったようだ。 「さ、とにかく才郷の手当てを…」 そう言いかけたところで、黄泉川の身体にぞわりと悪寒がはしった。 人間の第六感。くわえて警備員で培った勘が赤信号を灯している。 危険だ── しかし何が…何処に… その時一際大きな電撃の音が後ろから聞こえた。 慌てて振り返ると、その先からは青白い光が迫ってきていて──
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1098.html
【初出】 禁書SS自作スレ>>984-987 年に数回学園都市が外部に向けて公開されるうちの一つである社会見学祭。 その会場の一つである建物の中へ開始時刻に合わせて続々となおも人が入り込んでいく。そのため現 在は少々人ごみで混雑が生じかけているのだが、ある一角だけは奇妙な空白のスペースが生じてい た。 その中心にいるのは二人の人物。 周りにいる学生服姿の子供や大学生らしき大人たちがそこからやや距離を置いて注目しているのは、 主に一人の人物である。 周りから注目されている当の女性はしかし、そんなことはこれっぽっちも気にせずに相手の少年である 上条に向かってさらに詰め寄っていく。 「おいおい、ほんとに大丈夫か? こんな開始前からボーっとしてるようだと祭りが始まったらもっと大変 じゃんよ」 未だ突然の出来事に思考が追いつかずに硬直している上条に対して、ズズイッと身を乗り出してくる女 性。 上条の顔を覗き込んでくるために、こちらもつい相手を見返してしまう訳だが、 (って、その姿勢はやばーーーっ!!) 長身の女性が一般男子高校生の平均身長と同じかそれより少し低い背の上条の顔を覗き込もうとし ているのである。当然、女性は身を屈めないといけない訳なのだが、その体勢をとると何だか先ほどより も胸が余計に強調されているような気がする。 さらに、女性はスーツの下に着ているシャツのボタンを二つ目まで外してある為に、首元から覗く鎖骨 のくぼみやらその下の何やら谷間まで見えてしま ズバン!! という効果音が聞こえそうな勢いで首を逸らすことで目の前の人物のある一点に集中しか けた視線を無理やりねじり切る。 嘲るなかれ。 上条当麻さんだって若さを持て余す年頃の青少年なんですから。 むしろ目が行きかけた途中で鉄の精神で阻止した自分を褒めてやりたいです。 が、しかし。 そんな上条の行動を見て女性の眉が僅かに寄せられる。 「こらこら、少年。どういうつもりじゃんよ?」 屈んでいた身体を伸ばし、腕を組みながら上条に問いかけてくる。 心なし声色も不機嫌そうなものになっている。 それはそうだろう。あれではあからさまに女性の事を蔑ろにした行為と言えよう。 対峙している上条がなおもそわそわと落ち着き無く視線をさまよわせている為に、イライラ度は現在進 行形で上昇中のようである。 「人が話をしてるときはちゃんとこっちを見るべきじゃん」 そう言われても上条はそちらを見られないでいる。 女性が腕を組んでいるために先ほどとはまた違う仕方で胸が強調されているからである。 (あれ、でもこの口調、どっかで聞いたことがあるような……?) と、考え込んでいた上条に対し、ついに女性が行動に出た。 おもむろに後ろから手を伸ばすと、上条の首を巻き込んで脇に絞めにかかる。 視線をまともに向けられないでいた上条は気付くのが遅れたためあっさりと捕まり、完璧にロックされる。 「あくまでシカトとはずいぶんじゃん、少年」 それに答えられるはずも無く、とにかくまずは女性の腕の中から抜け出そうと試みるが、細身な外見か らは意外なほどにがっちりとホールドされているために徒(いたずら)に暴れてしまうだけとなってしまう。 さらに言えば体勢的に上条の顔の横に何やらが当たっているようなのだが、上条はすでに半分パニッ クになっているため気付いておらず、当の女性本人はそもそもそういうことには無頓着のようで全然気に していないようだった。 ところで、この状況を周りから見るとどのように映るのか? 当初こそ何事かと見ていた周囲の人だかりも、今では単に学生が女性に可愛がられている様にしか 見えないために半分以上はあきれ返り、さらには上条がもがいているのが自分から女性に抱きついて いるように見えるために半分近くは嫉妬を抱き、ごく一部は殺意すら立ち上らせている。 そんな事とは露知らず、あいからわずじゃれあっている(ようにしか見えない)上条だったが、何とか腕 の拘束から逃れようと必死でもがき、とうとう次の瞬間、 周囲の人だかりから高速で飛来した何かの直撃を後頭部に受けて吹っ飛び、そのまま床に沈んだ。 (ぐおぅ、な、なんだぁ…?) 何とか必死で首をめぐらせると、ゴトリ、と音を立てて目の前に自身を襲った凶器が落ちてきた。 「社会見学祭案内パンフレット……?」 倒れこんだままそれに書かれている名前を呟く上条。 いや、あれをパンフレットと呼んでいいのか? 見ればそのパンフレットなる物の厚さは、ともすれば手の平よりはみ出るかもしれない位ある。 (誰だよあんなの投げつけてきたのは!) ようやく思考が追いついてフツフツと怒りが湧いてきた上条の視線の先に革靴を履いた足が現れ、そ の投擲鈍器に手を伸ばして拾い上げた。 持ち上げられる本を追うままに視線を上げて持ち主を見ると、先程別れた吹寄制理が本の埃を払いな がら周囲の人だかりを解散させているところだった。 周りの人の流れが幾分元に戻ったのを見てから女性に向かって頭を下げる吹寄。 「どうも、この馬鹿がご迷惑をおかけしたようで申し訳ありません」 「あっはっは、迷惑って事は無いじゃん。……それにしても、相変わらず小萌センセのとこには面白いの が集まってるみたいじゃん」 「いえ…、うちのクラスの全員がこんな馬鹿ばっかりではありませんから」 自分を無視して冷静な応対をしている吹寄に対して 「おい、俺に対しては何にも無しなのかよ……?」 恨みがましく上条が下から呟くと、 「黙れ馬鹿、今度は角でどつくわよ?」 「何でもないです」 さすがは鉄の女。見事なまでの対処の仕方です。ハイ。 っていうか、あんなものを角を使ってどつくとかあんたは鬼ですか? と、起き上がりながら先程の吹寄の言葉を思い出して 「なぁ、知り合いなのか?」 上条が尋ねると、 「あんたね、体育の黄泉川先生でしょうが」 あっさりと言われた答えに固まる上条。 「……え? 体育の黄泉川先生って、あの、いっつもジャージで過ごしてるあの……? うそだろー!?」 「何であんたは分かんないのよ?」 「いやむしろわかんない方が普通だろ!? いつもと違うかっこうしてるし体育の授業だって俺らのクラス の担当じゃ無いし! むしろ吹寄の方が何で分かったのか聞きたいくらいだし!」 「私は大覇星祭の運営委員や一端覧祭の実行委員で警備員(アンチスキル)の先生方と打ち合わせる 機会も多かったし、そもそも自分の学校の先生が分からないっていうのはそもそもどういうことなのよ? ……ということは貴様は相手が誰かも知らないのにあんな事をやってたっていうのね? これはやはり制 裁を加えるべきかしら?」 言いながら手に持つ本(と言っていいのか疑問に思える代物)を構えだす吹寄。 対して上条は必死で弁解を始める。 「待って待って、吹寄さんのその認識にはちょっとした誤解がありませんか?!」 そんなものは聞く耳持たぬとばかりにジリジリと間合いを詰めてくる吹寄に対して、会話の外にいた黄 泉川から声が掛かる。 「こらこら、いいのか? そんなふうに扱ったらせっかく苦労して貰ってきた『パンフレット』が台無しになっ ちゃうじゃん?」 ピタリ、と吹寄の動きが止まる。 常に冷静な彼女にしては珍しく、動揺が割と顔に出ている表情で黄泉川に向き直る。 「いやぁ、いるもんじゃん、わざわざ『パンフレット』を持とうとする学生も。なんだ、やっぱり小萌センセの トコは面白くてイイ子ばっかりじゃんよ」 なぜか物凄く嬉しそうな黄泉川と、恥ずかしのを悟られまいとしてうろたえ気味な吹寄。 まあ実際、直前に否定した自分がその範疇に入っていると指摘されたのなら無理も無いことではある のだが。 ただまあ、吹寄にとっての救いは黄泉川に向き直っているために上条に背を向けている事であろう。 そんな心情など露知らず、突然動きを止めた吹寄に対して上条が横から顔を窺(うかが)うように、 「どうした吹寄。あ、そうだ。その『パンフレット』ってなんなの?」 と尋ねてきたために、反射的に鈍器による制裁を加えたのは不可抗力であろう、と納得している吹寄。 そんな吹寄とその足元にのびている上条を見ながら黄泉川は一人頷いているのであった。 吹寄からの理不尽ともいえる制裁を喰らった上条だが、常日頃から食欲シスターさんからの噛み付き 攻撃を受けている身としては回復も早いわけで、早々に復活した上条は先程から話題に出ている『パン フレット』について今度は黄泉川に尋ねる。 「っつーか、ほんとに何なんですか? 『パンフレット』なんて見たことありませんよ?」 「ああ、そりゃそうじゃん。ありゃ主に学園都市外から来た『祭り』参加者に向けて用意されてるもんだか らなぁ。もともと学園都市内にいて、しかも学生だったらまず見かけることは無いだろうじゃん」 「???」 そう言われてもいまいち理解し切れていない上条。 そんな上条に向かって苦笑しながら説明を続けていく黄泉川。 ちなみに、件の『パンフレット』を持っている吹寄はあまりこの話題を続けて欲しくは無さそうだが、教師 である黄泉川に対して強く出る事が出来ず、居心地が悪そうである。 「少年に聞くけど、今日は何しにここへ来たんじゃん?」 「? 社会見学ですけど?」 唐突な黄泉川からの質問に戸惑いながらも上条が答える。 「なら、その社会見学は何をするもんじゃん?」 「え? 社会見学ってのは、だから、自分たちがいる社会の仕組みを見て学ぶって事でしょう?」 何だかつい最近似たような説明をした覚えがあるなあ、と思いながら答えると、 「じゃあ、その見学する社会ってのはどういうもんなんじゃん?」 さらに黄泉川が尋ねてくる。 「それは、えっと……自分の周囲にある環境とか、生活基盤の仕組みの事じゃないんですか?」 黄泉川からの質問の意図が分からないまま答える上条。それに対して、なおも質問が被せられる。 ・・・・・・・・・・・・・ 「なら、学園都市にいる学生にとって、学ぶべき周囲の環境とか生活基盤の仕組みは何処のことだと思 う?」 その質問に、未だ意図は分からないままながらも何か引っかかりを覚える上条。 そう、そもそも社会見学とは、自分たちが生活している社会がどのように成り立っているのかを理解す るために様々な業種の現場に赴き、実際に見学したりその仕組みを体験したりする事が多い。 ただし、それはあくまで一般的なものである。 上条たちが住んでいるこの学園都市は超能力開発の為に一般社会とは隔絶されたものである。 さらには数多くの研究機関が集まって独自の科学技術を擁しており、その生活基盤の仕組みもかなり 『外』とは違ったものとなっている。 そうした結果、都市内における科学技術は『外』のそれより二十年進んでいるとされ、さらに、独自の倫 理観、価値観といったものが存在する。 その結果はどうなるのか? 普段学園都市内で生活している学生にとってはあまり意識する事は無いが、都市内にいる人間と『外』 においては様々な認識のズレ、というものが確かに生じているのである。 ならば、学ぶべき社会とはどちらのことを指すのか? そうした事についてようやく考えが至った上条を見ながら、黄泉川は説明を続ける。 「学園都市にいる少年たちにとって、身近な環境ってのはもちろん学園都市の中の事なんだろうけどさ、 いつまでもここにいるってわけでもないじゃん。なら、学ぶべき社会ってのは自ずと解るもんじゃん」 そう、いくら超能力開発の目的のために集め入れられた学生たちであろうと、一生をこの学園都市の中 で過ごすというわけではない。 大半の者はいずれここから『外』に出て行くことになる。(逆に言えば、一生を学園都市内で過ごす事に なる者もいることはいるのだが…) つまり、学生たちにとって、知っておくべき社会とは、自分が住まう学園都市の中だけでなく、『外』につ いてもそれが言えるのである。 「まあそんなわけで『外』の情報についても知っておいてもらいたい訳だけども、学園都市から『外』に学 生を集団で出すのは難しいじゃん」 「あ、はい」 過去、といっても記憶にあるのは夏休み以降からだが何度か学園都市から『外出』している上条はそ のときにクリアした様々な条件を思い出しながら頷く。 ある意味機密データの固まりである生徒に対して行われた措置を、一人や二人ならともかく大量に行う のは不可能ではないが、しかし、非常に煩雑なものとなるだろう。 「その代わりと言っちゃなんだけど、生徒を『外』に出すよりも、逆に『外』にあるものを都市内に入れた方 が情報の管理や対策、制限も掛けやすいわけじゃん。けど、そうやって『外』の企業やらを都市内で見学 させると、今度は都市内にある企業や研究機関からも自分たちも関心を持ってもらいたいって考え出し たのさ。そうなると、いっそのことまとめてやった方が便利だってことでこうやって何箇所かの会場で集め てそこに参加してもらうようになったわけじゃん」 「黄泉川先生、あの、そのことは今関係ないんじゃないですか?」 早くこの場から離れたい、というよりも、自分の持つ『パンフレット』について話されるのに抵抗があった 吹寄だが、あまりにもかけ離れた話題が続いているように思えるために、思わず会話に参加してしまう。 「まあまあ、話しはこれからじゃん。いきなり本題に入ってもいいけど、そこに行くまでの背景についても 知っていて欲しいわけじゃんよ。なんでそうなったのか、それを知っているといないとではえらい違いがあ るもんじゃん」 (あー、この人もやっぱ教師なんだなぁ……) 吹寄の言葉に答えてから説明を続ける黄泉川を見ながら、上条はそんな事を考えていた。
https://w.atwiki.jp/mobage_index/pages/51.html
空いているデータの補完をコメントまたは編集お願いします。 例:探索(第1~5話) 第21話「正義と悪」 第22話「偽装する者」 第23話「第三者」 第24話「救われぬ者に救いの手を」 第25話「」 第21話「正義と悪」 消費体力-8、経験値+8、CP+56~120 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 21-1 [無能力者]上条当麻 [風紀委員]白井黒子 [実地研修]土御門舞夏 d 21-2 [体育教師]黄泉川愛穂 [不幸少年]上条当麻 [風紀委員]白井黒子 土産 21-3 [神父]ステイル [強奪作戦]打ち止め [体育教師]黄泉川愛穂 d 21-4 [無能力者]上条当麻 [実地研修]土御門舞夏 [不幸少年]上条当麻 土産 21-5 [強奪作戦]打ち止め [敵対心]駒場利徳 [妄想中]御坂美琴 d ボス: 報酬: 第22話「偽装する者」 消費体力-8、経験値+8、CP+56~120 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 22-1 [敵対心]駒場利徳 b [風紀委員]白井黒子 土産 22-2 [風紀委員]白井黒子 [三バカ]青髪ピアス c d 22-3 a [強奪作戦]打ち止め [三バカ]青髪ピアス d 22-4 [強奪作戦]打ち止め b [標的殲滅]結標淡希 d 22-5 [敵対心]駒場利徳 [標的殲滅]結標淡希 [妄想中]御坂美琴 d ボス: 報酬: 第23話「第三者」 消費体力-8、経験値+8、CP+56~120 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 23-1 a [ステッキ]姫神秋沙 [厚底サンダル]アニェーゼ 文書 23-2 [身柄確保]ルチア [厚底サンダル]アニェーゼ [標的殲滅]結標淡希 土産 23-3 [厚底サンダル]アニェーゼ b [実地研修]土御門舞夏 文書 23-4 [余計な一言]初春飾利 [体育教師]黄泉川愛穂 [身柄確保]ルチア d 23-5 [敵対心]駒場利徳 [強奪作戦]打ち止め [余計な一言]初春飾利 文書 ボス: 報酬: 第24話「救われぬ者に救いの手を」 消費体力-8、経験値+8、CP+56~120 ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 24-1 {ステッキ}姫神秋沙 b c d 24-2 a b c d 24-3 a b c d 24-4 a b c d 24-5 a b c d ボス: 報酬: 第25話「」 消費体力-○、経験値+○、CP+○~△ ステージ カード 戦利品 エリアクリアに必要な体力 25-1 a b c d 25-2 a b c d 25-3 a b c d 25-4 a b c d 25-5 a b c d ボス: 報酬: 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/meteor089/pages/220.html
ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール 発表期間:2010/09/10 ~ // 引用元:SS投稿掲示板 本スレ1 本スレ2 タイトル メインキャラ ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 01 馴れ初め 婚后光子、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 02 その心配が嬉しい 婚后光子、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 03 レベル4の先達に師事する決心 婚后光子、佐天涙子、初春飾利、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 04 渦流の紡ぎ手 婚后光子、佐天涙子 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 05 能力の伸ばし方 婚后光子、佐天涙子、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール prologue 06 彼氏の家にて 婚后光子、佐天涙子、初春飾利、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 01 魔術との邂逅 婚后光子、上条当麻、インデックス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 02 誰ぞ救われぬ者は 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 03 傷ついた者を背負って 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 04 魔術との対峙 婚后光子、上条当麻、インデックス、黄泉川愛穂、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 05 交戦 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス、黄泉川愛穂 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 06 黄泉川家 婚后光子、上条当麻、インデックス、黄泉川愛穂 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude01 数値流体解析 -Computational Fluid Dynamics- 佐天涙子 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 07 決意 婚后光子、上条当麻、インデックス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 08 イギリスへ辿り着く道 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 09 鬼ごっこ 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 10 ここに敵はいない 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 11 反撃の狼煙 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス、黄泉川愛穂、冥土返し ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 12 黒いマリア 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 13 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 14 記憶回復の代償、そして未来 婚后光子、上条当麻、インデックス、神裂火織、ステイル=マグヌス、黄泉川愛穂 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude02 渦流転移 -Vortex Transition- 婚后光子、佐天涙子、湾内絹保、泡浮万彬 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude03 乙女の昼餐(そう淑やかでもない) 婚后光子、佐天涙子、御坂美琴、白井黒子 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude04 爆縮渦流 -Implosion Vortex- 婚后光子、佐天涙子 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude05 ローレンツ収縮が滅ぼしたもの 上条当麻、インデックス、エリス・ワイガート、垣根帝督 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude06 能力者を繋ぐネットワーク 御坂美琴、木山春生、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude07 最強の電子使い(エレクトロン・マスター) 御坂美琴、布束砥信、上条当麻、麦野沈利 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude08 電話をする人しない人 婚后光子、上条当麻、インデックス、御坂美琴、白井黒子、佐天涙子、初春飾利 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude09 盛夏祭開始! 婚后光子、上条当麻、インデックス、エリス・ワイガート、佐天涙子、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、湾内絹保、泡浮万彬、土御門舞夏、土御門元春 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール interlude10 キッス・イン・ザ・ダーク 婚后光子、上条当麻、インデックス、垣根帝督、エリス・ワイガート、御坂美琴 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 01 乱雑解放(ポルターガイスト) 婚后光子、上条当麻、インデックス、佐天涙子、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、春上衿衣、エリス・ワイガート ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 02 友を呼ぶ声 婚后光子、上条当麻、インデックス、佐天涙子、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、春上衿衣、テレスティーナ、麦野沈利 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.3_Deep Blood 01 第五架空元素 エリス・ワイガート、垣根帝督、姫神秋沙 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 03 水遊び、湖畔の公園にて 佐天涙子、初春飾利、春上衿衣 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 04 暴走する能力 婚后光子、佐天涙子、初春飾利、春上衿衣、御坂美琴、白井黒子、黄泉川愛穂、テレスティーナ ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.3_Deep Blood 02 仲直り エリス・ワイガート、垣根帝督、姫神秋沙、上条当麻、インデックス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 05 統計が結ぶ情報とエネルギー 婚后光子、初春飾利、春上衿衣、上条当麻、インデックス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 06 真実を手繰り寄せる糸 佐天涙子、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、木山春生、冥土返し、テレスティーナ ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.4_Sisters 01 手繰り寄せた真実からは絶望の味がした 御坂美琴、妹達、上条当麻、黄泉川愛穂 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.4_Sisters 02 序列の差 御坂美琴、妹達、一方通行、麦野沈利、婚后光子、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.4_Sisters 03 私が、知らないだけだった 御坂美琴、婚后光子、上条当麻 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール Intersection of the three stories 繋がる人と人 御坂美琴、春上衿衣、テレスティーナ、インデックス、姫神秋沙、ステイル=マグヌス、エリス・ワイガート、土御門元春、アレイスター・クロウリー ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール Intersection of the three stories 其処に集う人達 御坂美琴、佐天涙子、白井黒子、初春飾利、木山春生、婚后光子、上条当麻、インデックス、ステイル=マグヌス、エリス・ワイガート、テレスティーナ ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 07 科学と魔術の交差点 婚后光子、上条当麻、御坂美琴、インデックス、佐天涙子、白井黒子、初春飾利、木山春生、ステイル=マグヌス、エリス・ワイガート ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 08 背中を預ける戦友は 佐天涙子、婚后光子、ステイル=マグヌス、御坂美琴、木山春生、白井黒子、初春飾利 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 09 同じ世界の違う見え方 佐天涙子、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、木山春生、黄泉川愛穂 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 10 渦流共鳴 -Vortex Resonance- 佐天涙子、テレスティーナ、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、木山春生 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 11 踏みにじられる想い 佐天涙子、テレスティーナ、御坂美琴、白井黒子、初春飾利、木山春生、春上衿衣 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 12 渦流の正しい使い方 -Advance in Implosion Vortex- 佐天涙子、御坂美琴、テレスティーナ、白井黒子、初春飾利、木山春生、春上衿衣、枝先絆理、上条当麻、インデックス、エリス・ワイガート ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.2_PSI-Crystal 13 幸せな結末 婚后光子、上条当麻、佐天涙子、初春飾利 ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.3_Deep Blood 03 不幸せな結末 エリス・ワイガート、垣根帝督、インデックス、ステイル=マグヌス ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.3_Deep Blood 04 重なるコインの表裏 エリス・ワイガート、垣根帝督、アウレオルス・イザード、姫神秋沙 戻る
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/667.html
―柵川中学通学路― AM07:42 佐天「うーいーはーるー!おーっはよー!」バサァッ 初春「ひゃあああああ!さ、佐天さん、スカートめくるのいい加減に止めて下さいよー!」 佐天「えー…良いじゃん別にー」 初春「良くないです!」 佐天「ホラホラァ…男子共の目が初春のスカートにばっちり釘付けだよ~」 初春「うう……本当に止めてくださいよぉ…」 佐天「ごめんごめん。後でジュース奢るから機嫌直してよ」 初春「いちごおでんでお願いしますよ?」 佐天「あの不味そうなのね。オーケー、まっかしといてー。……っと、そう言えば春上さんは一緒じゃないんだね」 初春「はい、春上さんは日直当番だから先に行きました」 佐天「そっかー。春上さんも真面目だねー」 初春「いやいや、それが普通だと思いますよ?佐天さん」 佐天「日直ってメンドーなんだよねー。日誌書いたり黒板消したりさぁ」 初春「男子も手伝ってくれると良いんですけどね…」 佐天「あいつ等、休み時間になると遊びに行っちゃうもんねー」 初春「……春上さん、ちゃんとやれてるでしょうか」 佐天「心配ないって!何度もやってるんだしさ。大変そうだったら私等も手伝えば良いんだし」 初春「……そう、ですね。そうですよね!」 佐天「さ、そうと決まれば役割分担でも決めちゃおうか」 初春「はい。けど平等にお願いしますね?」 佐天「じゃあ私は、授業前にチョーク揃える係りってことでー」 初春「勝手に決めないでくださいよー!」 ―とある高校― AM07:49 黄泉川「ここが今日からお前の通う学校じゃん!」バァーン! 一方「前にも見てンだろォが…相変わらずなンの特徴もねェ、普っ通の校舎だなァ」 黄泉川「そこがまた良いじゃんよ。ここでなら夕方に川原で殴り合って『お前中々やるじゃねえか。お前こそ』みたいな体験だって可能じゃん」 一方「役に立たねェ昭和なコメント、アリガトーゴザイマスー」 黄泉川「いやいや本当じゃんよ。今日からお前が通うクラスに行けばわかるじゃん」 一方「そンな時代遅れな奴が実際にいンのかァ?」 黄泉川「ちょっとした問題児集団の1人だけど根は良い奴じゃん」 一方「はっはァ。だからってこの俺と仲良しこよしちゃンになれるとは思えねェけどなァ?」 黄泉川「お前の方から『友達になって』って言えば万事解決じゃん」 一方「笑えねェなァ。俺がそンなタマに見えンかよ?」 黄泉川「何事もチャレンジじゃんよ」 一方「アホくせェ…」 小萌「黄泉川先生、おはようなのですよー」 黄泉川「おー、月詠センセもおはようじゃん」 小萌「あれ…? そっちの子は前に見た事あるですよー?」 一方「あァ……あン時の不可思議生物か」 小萌「先生なにも不可思議なんかじゃないですよー! ちゃんとした大人ですよー!」 一方「あ……ありえねェ…」ヨロヨロ 小萌「こらー! 失礼なこと言わないでくださーい! って黄泉川先生もまた笑ってるだけなんですかー!?」 黄泉川「いやーごめんじゃん、月詠センセ」 小萌「んもう! ――それで、その子が黄泉川先生の言ってたドラ息子ちゃんなのですか?」 黄泉川「そうじゃんよ。こいつが今日から月詠センセのクラスに入る一方 通行(ひとかた みちゆき)じゃん」 一方「………おい。通行くンてなァ、どこのどいつだ」ボソボソ 黄泉川「いくらなんでも一方通行(アクセラレータ)のままじゃマズイじゃん。そこで私が前から温めてた偽名を使うと良いじゃん」ボソボソ 一方「余計な事すンじゃねェよ。バレたって構わねェだろォが」ボソボソ 黄泉川「それだと他の生徒に怖がられて友達出来ないじゃん?」ボソボソ 一方「それが余計だっつってンだよォ。俺の周りにグズ共が群がればそンだけグズ共にも危険が及ぶンだぜ? そこンとこわかってンのかァ?」ボソボソ 黄泉川「なにかあればお前が守ってくれるじゃんよ?」ボソボソ 一方「俺をあてにすンじゃねェよ」ボソボソ 小萌「もしも~し! 内緒話しは済みましたかー?」 黄泉川「話しはここまで。ま、上手くやるじゃん」ボソボソ 一方「あ……おい!」 黄泉川「いや~、待たせてごめんじゃん。それじゃ、うちのドラ息子をよろしく頼むじゃん」バンバンッ 一方「痛ェな! 叩くンじゃねェよ!」 小萌「こらー! 先生にそんな言葉使いしちゃダメなのですよー!」プンスカ 黄泉川「それじゃ頑張るじゃんよ、一方~」 一方「その名前で呼ぶンじゃねェェェェェェェッ!!」 ―柵川中学校― AM07:54 ステイル(さて……学校へ着いたは良いが…) 生徒1「なんだあの赤毛は…」ボソボソ 生徒2「高校生か?なんで中学にいるんだよ」ボソボソ 生徒1「ここの生徒を痛めつけに来たのかも…」ボソボソ 生徒2「こえぇ…目は会わせないようにしようぜ」ボソボソ 生徒3「あまり近付かない方が良いよ…なにされるかわからないもの…」ボソボソ 生徒4「その方が良いよね……風紀委員にも連絡しとこうか?」ボソボソ 生徒3「それが良いわよ」ボソボソ ステイル(あまり良い印象を持たれてはないみたいだね…まあ良い。 それより先ずは職員室とやらに行くんだったな。……しかし肝心の場所がわからないぞ。…誰かに聞くか) ステイル「おい、そこの君」 生徒1「うわぁ!こっち来たぁ!」ダダダッ ステイル「なにも逃げる事ないだろうに……そっちの君…」 生徒2「ご、ごめんなさい!日直なので先に行かせてください!」ダダダッ ステイル「………」ポツーン ステイル(くっ……なんなんだこの国の男は!少しは紳士の振る舞いを見せたらどうなんだ!?) ドンッ ポスンッ ステイル(……うん?なにかぶつかったな…) 春上「痛いの……」 ステイル(ぶつかって来たのはこの子か?) 春上「ごめんなさいなの。ボーっとしてたら当たっちゃったの」 春上(おっきくて怪獣みたいなの) ステイル「いや気にしなくて良いよ。こんな校庭のど真ん中で考え事をしていた僕に非があるんだ。君の方こそ怪我はなかったかい?」 春上「平気なの」 春上(良かったの…おっきいけど優しそうな人なの) ステイル「それは良かった。さあお手をどうぞ、お嬢さん」スッ 春上「どうもありがとうなの…よいしょっと…」スクッ ステイル「それじゃ僕は失礼するよ。職員室を探さなきゃならないからね」 春上「職員室……探してるの?」 ステイル「ああ…そうだが…」 春上「私…案内するの」 ステイル「それは非常に助かるのだが…構わないのかい?」 春上「気にしなくても良いの。困ってる人を助けるのは当然なの」 ステイル(断る事も出来るが…彼女の善意を無下に扱うのは英国紳士として恥ずべき行為だな) ステイル「それでは道案内を頼むよ。リトルレディ」 春上「任せてほしいの」 初春「風紀委員です!春上さんから離れてください!」 ステイル「………うん?」 (数分前) 佐天「じゃあ、私は授業前にチョークを出す係りで…」 初春「なんでどんどん楽なのになってるんですかー!」 佐天「良いじゃん。初春には机の整理って重要な役割があるんだからー」 初春「いつ決まったんですか!?」 佐天「大丈夫、初春には頭の花があるじゃん! 花の触手でビシュンビシュンッ!って感じで動かせば整理も簡単に…」 初春「へ、変な設定をつけないでください!」 生徒3「あ…そこのあなた!」 初春「……はい?」 生徒4「あなた風紀委員だよね?」 初春「はい。そうですけど……」 生徒4「いま校庭に高校生ぐらいの不良がいて困ってるの…」 生徒3「男子生徒に突っ掛かったりしてたよね」 生徒4「うん…怖かったぁ…」 生徒5「お、おい! 女子が赤毛の不良にぶつかって、いちゃもんつけられてるぞ!」 生徒6「あの子…隣のクラスの春上って子じゃないか!?」 初春「…!?」 佐天「は、春上さんが!?」 初春「佐天さん…。私の鞄を持っててください」 佐天「あ…ちょ、初春!?」 初春「止めないでください佐天さん」 佐天「でも相手は高校生の不良なんでしょ!? いくら初春が風紀委員だからって1人じゃ無理だよ!」 初春「わかっています。でもこうしてる今も春上さんが困ってるかも知れないんです…だから…」 佐天「初春………わかった。だけど、無理しちゃ駄目だよ?」 初春「……はい!」ダッ 初春(必ず助けますから待っててください、春上さん…) 佐天「…………」 佐天(私も…私も力になるんだ!)ダッ 初春(―――いました!) 春上「職員室……探してるの?」 ステイル「ああ…そうだが…」 春上「私…案内するの」 初春(長身で赤毛の不良…報告にあったのはあの人で間違いなさそうです。 それにしてもいったいなにを話してるんでしょう? ……いえ、いまはそんな事よりも春上さんを助けるのが先決です) 初春「風紀委員です! 春上さんから離れてください!」 ステイル「………うん?」 春上「初春さん…?」 ステイル「知り合いなのかい?」 春上「お友達なの」 ステイル(なにか誤解しているようだが……ここは敵意のない事を示して誤解を解くか) ステイル「そうか。君も審判者(ジャッジメント)なんだね? 僕の知人にも何人かいてね… 大変な仕事だろう?」ズイ 初春「動かないで下さい! ここは中学校ですよ? 高校生のあなたが許可なく立ち入って良い場所ではありません!」タジ 初春(あーん! 耳にたくさんピアスしてます! この人、相当なワルです! 怖いよー!) ステイル「尋問なんかも疲れるだろう? 中々吐かないヤツがいて」 初春「そ、それはそうですが…精神誠意もって話せば…」 ステイル「それでも吐かないヤツはいる。そう言う時はどうすれば良いかわかるかい?」 初春「………読心能力者の人に頼みます」 ステイル「違うね。答えは拷問だ」 初春「………………………え?」クラッ ステイル「例えば水攻め。口の中に大量の水を流し込むんだ。すると胃袋が膨れ上がってね。腹をを揺すって水を吐かすのさ。 そしてまた水を流し込む。これを何度か繰り返すと血の混ざった水を吐き出すようになってね。あまりの苦痛にのたうち回るんだ。 しかも、いくら苦しみ抜いた所でそれはくり返される。死なないように注意されて行われ、自白するまで止められることはないのさ。 その結果、ほとんどの人間は一時的に苦痛を逃れたいがために簡単に秘密を漏らしてしまう」ペラペラ ザザーーーーーッ(人の波が引く音 初春(な、にを…言ってるんですか……? この人…なんなんですか…?)クラクラ ステイル「簡単だろ?」ニコォッ ステイル(良し。もう一押しで誤解が解けそうだぞ) 初春(それを……春上さんにしようとしてるんですか…?) 初春「させません」ボソ ステイル「他にも………なにか言ったかい?」 初春「私の友達を傷つける事は絶対にさせません! 」 ステイル「…………え?」 初春「それにそんな乱暴な方法! ひ、酷いです! あ、あなたには……良心が…ない、んですかぁ!?」ポロポロ ステイル(………困ったぞ。どう言う訳か泣かせてしまった) ステイル「あー…少し落ち着いてくれないか?」ポリポリ 佐天「私の友達にぃ…」 ステイル「うん……?」 佐天「手を出すなあああああああああっ!!!」ブンッ グワァラゴワガキーン! ステイル「ごっがっああああ!!!?」 ズッシャー ゴロゴロゴロゴロ ゴツン 初春「さ、佐天さん!?」 佐天「逃げるよ! 2人共!」ガシッ ガシッ 春上「…え?……え?」 初春「ちょ、いまのはさすがに…」 佐天「話しは後! アイツが起き上がってくる前に教室に逃げ込もう!」ドギューンッ 初春「あわわわ…!佐天さん、そんなに腕引っ張らないでくださーい!」 春上「体が浮いてるの。フワフワしてて楽しいの」 ステイル「………」ポツーン ステイル「くっ………なんだったんだいまの子は…?」フラフラ ステイル(防御術式が間にあって軽傷ですんだか……まだ少し頭がフラつくな) ステイル「人の頭を思いっきり殴って逃げやがって………いてててて…」フラフラ 大圄「キミ! どうした、体調が優れないのか?」 ステイル(……誰だ? この学校の教師か?) ステイル「いえ、問題ありません。……それよりお尋ねしたい事があるのですが…」 大圄「なにかな? 」 ステイル「職員室の場所を教えていただきたいのですが」 ―とある高校― AM08:16 上条「ふぅ……今日は走らなくても間にあったな」 上条(今日は御坂とは会わなかったな…。……いつもならイヤでも会うんだけどな……はぁ) 上条「い、いやいや。御坂と会ったってどうせビリビリィッ! ってされるだけだろ。うん。 いまは授業と補習の事だけ考えよう。うん。そうしよう」 ガラッ 上条「おいーっす!」 青ピ「カーミやーん! おっはー!!」 姫神「おはよう。上条くん。」 吹寄「相も変わらず朝から無駄に元気ね」ムッスー 上条「あれ? 土御門は?」キョロキョロ 青ピ「つっちーならまだ来てへんでー」 上条「珍しいな。いつもはもう来てるのに」 吹寄「ほっとけばその内来るでしょ? それより上条!」ズイッ 上条「な、なんでしょうか吹寄さん」 吹寄「土曜日に一緒にいた常盤台の子は誰なの?」ギロリ 生徒達『なんだとおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?』ガタッ 上条「んな! ど、どうしてそれを!?」 吹寄「隣のクラスの子に聞いたんだけど…否定しない所をみると本当みたいね」 上条「ふ、吹寄! 俺をハメやがったな!?」 吹寄「うっさいこの旗男! 貴様はいったい何人の女性にフラグを建てれば気が済むの!」 上条「フラグとか訳わかんねえ事言うな!」 青ピ「カミやーん… またか? またなんか!? またカミやんばっかり『あっは~ん』で『うっふ~ん』な事になってるんか!?」 上条「バ、バカ野郎! そんな訳ねえだろ!」 青ピ「……………あれ? カミやんなんかいつもと反応違わへん?」 上条「…は?」 青ピ「いつもやと、もっと平然と『そんな素敵展開が俺に舞い降りる訳ないだろ。はあ、それにしても彼女が欲しい』とか言っとるやん」 上条「…………そうか?」 青ピ「せやでー。カミやん、なーんか変やでー?」 上条「…………」 上条(変…? 俺が……変?) 青ピ「なーんてなー! カミやん、気にしすぎやでー! もっと人生気楽にいこー?」 上条「あ……ああ」 ガラッ 土御門「皆の衆、おっはー!」 青ピ「つっちーおっはー!」 姫神「おっはー。」 吹寄「何年前の挨拶よ、それ」 上条「……………」 土御門「んー? いったいなんの話ししてたんかにゃー?」 青ピ「カミやんが常盤台の女の子とイチャイチャしとったって話しやー」 上条「い、イチャイチャなんてしてませんー!」 土御門「またかにゃー! テメェ、いい加減にしろにゃー! なんて子かもついでに教えるにゃー!」 上条「誰だって良いだろうが! 上条さんは黙秘権を行使します!」 土御門「カミやんに人権なんてないんだぜい!」 青ピ「皆のものー! カミやんの退路を塞ぐんや!」 男子生徒『おおッ!』ドドドドドド 上条「ぐ……こんな時ばかり結束しやがって…!」 吹寄「それで? 常盤台のなんて子と買い物してたの? ここまで来たからには言っちゃいなさい」 青ピ「さっさと吐いたら楽になれるでぇ…? カミやーん?」 上条「……………御坂」ボソ 姫神「御坂? 常盤台の御坂さん?」 吹寄「常盤台の御坂って……超電磁砲?」 上条「……………………はい」コクン 【審議中】 ∧,,∧ ∧,,∧ ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧ ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` ) | U ( ´・) (・` ) と ノ u-u (l ) ( ノu-u `u-u'. `u-u' 上条「お、おい…なに話してんだよお前等…」 【結果発表】パッ パッ パッ パッ パッ パッ [死刑] [死刑] [死刑] [死刑] [死刑] [死刑] ∥∧∧ ∥∧∧ ∥∧,,∧ ∥∧,,∧ ∥∧∧ ∥,∧∧ ∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`)∩・ω・`) ( ). ( ). ( ) ( ) ( ) ( ) `u-u´ `u-u´ `u-u´ `u-u´ `u-u´ `u-u 上条「いくらなんでも短絡的すぎませんか!?」 青ピ「やかましいわい! よりによって超電磁砲やて!?」 吹寄「上条当麻! やはり貴様とは一生わかり合えないみたいね!」 上条「ひ、姫神! 助けて!」 姫神「この魔法のステッキを。上条くんに。」バチバチッ 土御門(むぅ…てっきり本命ねーちんで対抗で禁書目録と五和だと思ってたんだが、ここでまさかの伏兵登場にゃー)ニヤニヤ 上条「土御門! ニヤニヤしてないで助けてくれー!」 土御門「面白そうだからイヤだにゃー」 上条「面白そう!? お前はこの状況見て面白そうに見えんの!?」 土御門「まあ自業自得だにゃー。大人しく殴られてろ」 上条「不幸だー!」 ガラッ 小萌「はーい、席につくですよー」 上条「お、こ、小萌先生が来たぞ! ほ、ほら! 早く散りなさい! 嫉妬に狂った野犬共!」 男子生徒『ちぃ…命拾いしたな…』ゾロゾロ 小萌「えー。出席を取る前に皆さんにビッグニュースですー。今日から姫神ちゃんに続いて2人目の転校生ちゃん登場ですー」 男子生徒「先生! 転校生は女ですか!?」 女子生徒「今度こそ男ですよね!?」 小萌「今回はー…えーとー…」ペラペラ 上条「どうしたんだ? 先生」 土御門「案外、見た目は女だけど実は男ですー。みたいな奴だもんで戸惑っている、とかかにゃー?」 上条(なんだろう…嫌な予感がする…) 小萌「あ…! はい! 今回は男の子ですー。おめでとう子猫ちゃん達、残念でした野郎どもー」 男子生徒「Noooooooooooooooooooooo!!」 女子生徒「いよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 上条(い…いや…前だって姫神だったんだ…今回だって地味な奴に決まってる!) 小萌「それじゃー顔見せ行きますー。転校生ちゃん、どうぞー」 上条(さて…どんな奴かな…) 青ピ(ショタっ子でも来ぃへんかな~) 土御門(転校生か…ステイル…コレ以上バカやるなよ?) 姫神(うふふ。また転校生。私のアンデンティティが失われていく。うふふふ) 吹寄(これ以上馬鹿が増えない事を祈ってるわ…) ガラッ カツンカツン 一方「どォもォ。一方 通行(ひとかた みちゆき)でェす」 上条「」 土御門「」 上条「はああああああああああああああああああ!!?」ガタッ 一方「あァ…?…………………げェ…」 一方(うるせェのがいると思ったらなンで三下がいンですかァ? しかも土御門までセットかよクソがァ!) 小萌「あれー? 上条ちゃんは一方ちゃんとはお友達なんですかー?」 上条「え…ああ……まあ……はい」 小萌「それじゃあ一方ちゃんは上条ちゃんのお隣の席に座ってもらいますー」 上条「………えー」ドヨーン 小萌「仲良くするですよー?」 カツン カツン 一方「世話ンなるぜェ? …上条くゥン」 上条「………この幻想をぶち壊したい」ドヨーン 一方「クカカカカカッ! まァよろしく頼むわァ!」 土御門(すげー楽しそうだぜい…) 小萌「それじゃあ出席とるですよー」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1347.html
「証拠隠滅ゥ!!」 「待てェ!!いきなり殺しはマズイだろォ!?」 「スルーが一番じゃねェの?」 「この状況でスルーできるヤツなンていねェだろ」 「考えろォ……上条ならこの状況をどォするかを……」 「お礼を言って『今度なにかさせていただきますゥ』とか言うに決まってらァ」 「なるほどォ!!攻略法はっけェン!!」 一方通行が脳内会議を終えると、チョーカーのスイッチをカチッ!!と入れて、 「じゃァな」 逃げた。 「ああっ!!待ってくださいアク様!!」 だが一方通行が心理掌握を待つことはなく、風の様に去っていった。 ちなみに他の生徒達は操られて痛い目に遭いたくないので一方通行と共に最後の力を使って逃げているのは言うまでもないだろう。 「だあっ! ゼェ、ゼェ、な、何だってンだあの女ァ……。入学式の件で懲りたンじゃねェのかよ……」 逃亡という逃げの一手をチョイスした一方通行、大急ぎで男子更衣室に入ると自分の手に心理掌握から貰ったものが握られていることに気付いた。 着替え終わった土御門がそのことに気付き、一方通行をからかい始める。 「おやおやー、アクセラくんの手に握られてるものは何なのかにゃー? まさか可愛い女の子からの差し入ゲフッ!」 「かわいかねェ! これはちょっとした油断ってやつだ! 相手は心理掌握だぞ、きっとまたロクでもねェこと企んで」 「へぇ、心理掌握さん頑張ったなぁ」 さりげなく心理掌握を褒めたのは土御門と同じく着替え終わった真夜で、一方通行はすぐさま彼の胸倉を掴み上げる。 普通なら怒れる学園都市最強に凄まれたら怯むものだが、真夜が能力だけでなく精神面でも成長してるので特に動じたりはしなかった。 「大丈夫だよ一方通行。心理掌握さんは何も悪いことは考えてないから。単に善意でスポーツドリンクとタオルを渡しただけだからさ」 「何でてめェにそンなことが分かるんだ弟ォ。まさかオレとあいつをくっつけようとか」 「ううん全然。俺はただ心理掌握さんが変われる手伝いをしてるだけに過ぎないよ。現にあの子はそうやって変わり始めてる。それは分かるだろ?」 真夜の言葉に嘘は無いと感じ取った一方通行、現に今までの心理掌握だったらもっとえげつないことを平然としていただろうから。 そうしてようやく一方通行は真夜の胸倉を掴んでいた手を離すと、チョーカーのスイッチを脳内でオフにして怒りを完全に収めた。 「一方通行にしてみたら面倒だとは思うけどさ、心理掌握さんはお前のことが知りたいだけなんだよ。だからさ、あんまり邪険にしないでくれると助かるな」 「……チッ、わーったよ。けどてめェも大概なお人よしだな弟ォ。あンな厄介な女の肩を持つなンざ」 「そうでもないよ。どのみち心理掌握さんが失恋するって思ってるし、それはあの子も承知してることだから」 「前言撤回だ、てめェは意外と酷ェ野郎だ……」 「それ本人にも言われたことがある。でも俺は甘くは無いってだけだから。じゃあそろそろ行くよ、建宮のおっさんの炊き出しが食べたいし」 真夜が去った後で一方通行達は思った、日頃から恋人二人を甘やかしてる奴が言うことじゃないと。 それから三分間、何だかんだで心理掌握からも物を貰った一方通行は更衣室にいるクラスメートからの質問の嵐に晒されることに。 「げぇっ! 保健室鍵かかってんじゃねーか!」 「マジかよ! こっちは個人特訓でボロボロだってーのに!」 「仕方ない、保健室は諦めて着替えて教室行こうぜ……」 保健室を利用しようとしていたのは情報屋、東原、野原の個人特訓対象者だが鍵がかかっていたので仕方なく諦めることに。 三人は揃って授業中に堂々と居眠りしようと考えていたりする、相手が小萌だろうと災誤だろうと。 しかし保健室は無人では無かった、中には青黒が居るのだ。 「ふっへっへっへ……さあさあ○○様!!黒子と一緒に未知なる世界へ旅立ちましょう!!」 「ま、待つんや黒子はん!!うちらはまだ清い関係でいようや!!」 「もう遅いですわ……私たちの関係はもっっっと深く、もっっっとディープになるんですの!!」 実は青ピが動けなくなっているのを良いことに、黒子はあーんな事やこーんな事をしようとしているのだ。 だが青ピはどれだけハーレムを作ろうとしようが、上条派ジェントルマンなので断固反対だ。 しかし相手はレベル4、そしてこちらはレベル0。 ………………………………………………………………………………………………………………………………………。 「勝ち目0やん!?」 青ピが叫ぶも暴走状態の黒子は止まらず、青ピは真っ裸にされてしまう。 そして黒子はいつの間にかナース服に着替えていた。かなりマニアックである。 ガチャ、ガラガラガラ 黒子が襲いかかろうとしたその瞬間、鍵を開けて教員が入ってきた。 警備員でもある黄泉川先生が。 扉を開けて目に入ったのは、月詠先生の生徒が裸でベッドに横たわり、顔見知りの風紀委員がナース姿で襲いかかろうとしている場面である。 「お前たち何やってるじゃん!!」 表面上は強がってる黄泉川だがパンツ一丁の青ピとナース姿の黒子を前に僅かながらも動揺していた。 「まだ何もしておりませんわ、これからする所ですの! そう、黒子は可憐なる少女の殻を破り大人の女性へと生まれ変わります!」 「ジャッジメントのくせに何をとんちきなことを抜かしてんじゃん! 今ならまだ見逃してやるから大人しく常盤台に」 「ああもう小うるさい方ですわね。少し大人しくしてて下さいな」 「なっ、しまっ……!」 比較的大人の対応をしている黄泉川を煩わしいと思った黒子は【空間移動】で間合いを詰めると、黄泉川の足を払って金属矢のテレポートで床へと縫いつけた。 床に縫いつけられてもまだ説得してくる黄泉川を無視して自分へと迫る黒子に対して青ピが出来ること、それは神に祈ることだけである。 (神様仏様女神様! どーかボクを助けて下さい! こないな形で黒子はんと結ばれるんは本意や無いんです! せやから) 「ふわぁ~あ、ったく朝から球技大会の練習なんて健康的な生活は疲れるわ……。とりあえず一時間目はサボって寝直ししよう。あ、いっそのこと翔太も」 「ボクの祈りが神様に通じたーーーーーーーーっ!」 「はぁ? アンタ確か土御門の…………(何? この状況)」 青ピの祈りが奇跡的に通じ、やって来たのは【座標移動】で青黒が使ってるベッドの横に降り立った結標だった。 パンツ一丁の青ピ、その青ピに今まさに襲い掛からんとしてるナース姿の黒子、床に縫い付けられている黄泉川、よく分からない状況なので結標はとりあえず考えることにした。 (床に転がされてる黄泉川、動くというか動ける気配を見せない土御門の連れ、その連れを変態丸出しの表情とコスで性的に食おうとしてる白井黒子……ダメ、全く分からない。けどとりあえずは) 「へっ? む、結標さん一体何をなさギャンッ!!」 結標の取った行動はシンプルで、この保健室で一番迷惑そうな黒子の後方に自分自身を【座標移動】させ、すぐさま警棒で後頭部に一撃を入れた。 黒子もいきなりのことに対処出来ず結標の全力の一撃をモロに喰らい気絶、黒子の計画はこれにて終了=青ピの危機も終了と相成った。 「おーい結標、悪いけどこの金属矢も抜いてくれると助かるじゃん。見返りに一時間目のサボリは目を瞑ってやるから」 「そうゆうことなら♪ はいっ、これで全部抜けたわよ。ところで白井黒子とこの男はどうするの?」 「白井は建宮の知り合いに常盤台の寮で働いてる子達がいるからその子達に引き取ってもらうじゃん。青ピは……どうだ、動けそうか?」 「あきません。ボク、朝練のダメージが残っとって動けそうにありませんわ。少ししたら動けそうになりそうやからそしたら教室行きます」 物分りのいい青ピに内心驚きながらも黄泉川は建宮から聞いていた対馬の携帯に連絡、今回の件を伝えて黒子を引き取りに来てもらうように頼み込む。 携帯越しからでも分かるくらいに対馬がうんざりしているのを感じ取っていたが、それでも了承してくれたことに感謝しつつ黄泉川は職員室へと戻って行った。 「じゃあ私は寝るけど何かしたらタダじゃすまさないからね」 「わ、分かってますって! それにボク、まともに動けへんからそない気ぃ張らんでも大丈夫……って寝るの早っ!」 早々に眠りについた結標に驚きながらも青ピも体を休めることにした、気絶してる黒子が過激な寝言を言ってるのは無視して。 黒子は思いもしないだろう、迎えに来るのが対馬ではなく他校にまで迷惑を掛けたことに怒り心頭な寮監だとは。 こちらは当麻&翔太、心理掌握から必死で逃げてようやく更衣室の前に到着した。 しかし目の前には売店の売り子のエプロンを身に着けて、ソワソワしてる麦野がいた。 「む、麦野さん、どうしたんでせう?こんなところで」 「は、浜面のは、裸……」 そう麦野は売店からそのまま抜け出して疲れた浜面の介護(?)をしに来たら浜面の着替えを目撃してしまったのだ 最近、女らしくなった麦野はそれに動揺してしまったのだ 「はー、あなた様にもそんな女らしいところがあったんですね」 「……テ、テメェ、喧嘩売ってんのかぁ?」 「い、いえそんな滅相もない!しょ、翔太、はやく着替えて教室に行こうぜ!」 「う、うん」 怖くなったのですばやく更衣室に二人は逃げ込んだ 数分後、着替え終わった浜面が出てきて麦野に優しくしてしまい追われることを二人はなんとなく予感していた
https://w.atwiki.jp/mobage_index/pages/32.html
第11話「交渉材料」 第12話「行く手を阻む者」 第13話「成長の兆し」 第14話「準備完了」 第15話「救出作戦」 コメント ※このページはネタバレを含みます。 ゲーム中で読みたい方は戻ることをおすすめします。 第11話「交渉材料」 OP 場所:病院前 ウサミミ「さて、ここが打ち止めがいるとされる病院か。夜も明けてしまった事だ。迅速に行動するとしよう」 プレイヤー「……」 ウサミミ「何だ、まだ不満か」 「何にしても拒否権はない。何ならもう一度倒されてみるか?ここは病院だしな」 妹達「そこまでです、とミサカは警告を発します」 ウサミミ「御坂美琴のクローン――『妹達(シスターズ)』共か。生憎、こちらは量産品の安物に興味はないぞ」 妹達「病院施設のセキュリティや上位個体の情報を探っている事は分かっています」 ウサミミ「チッ。私の収集プログラムも電気系の能力者が相手では分が悪いか」 妹達「敵性人物なのは明らか。降伏しなければ実力行使に移ります、とミサカは最後通牒を突きつけます」 ウサミミ「ははっ!言うに事欠いて私達を倒すだと?」 プレイヤー「……」 ウサミミ「ちょうど良い。確か超電磁砲は取得していたな。量産品を吹き飛ばしてやれ!!」 ボス戦前 場所:病院前 ウサミミ「……銃は弾切れか?クク、どうする命乞いでもしてみるか?」 妹達「……」 ウサミミ「チッ、所詮は作り物か。つまらん反応だな」 「……もういい、さっさとトドメをさせ」 プレイヤー「……」 ボス戦 戦闘前 戦闘後(勝利) 戦闘後(敗北) ED 場所:病院前 ウサミミ「所詮は量産品の安物か」 プレイヤー「……」 ウサミミ「おい、倒した相手を介抱している場合か。さあ、打ち止めをさらって状況を優位に進めるぞ」 プレイヤー「!」 妹達「ただで……やられると思いましたか、とミサカは言い放ちます」 ウサミミ「チッ。派手に暴れすぎたか!」 「打ち止めをさらっても敵に囲まれては意味がない。撤退するしかないか」 プレイヤー「……」 妹達「……?これは、メモですか、とミサカは……」 ウサミミ「おい!袋叩きにされたいのか。早く行くぞ!」 第12話「行く手を阻む者」 OP 場所:路地裏 ウサミミ「打ち止めが使えない以上、別の手を使うしかないか」 プレイヤー「……」 ウサミミ「なあに、超能力開発は利権のるつぼだ」 「すでにお前は超電磁砲を始め、有用な能力を多数取得している」 「データを切り売りするだけでも様々な機関が味方につくさ」 「だが、それには多少の時間が必要だ。少し離れた所に私の研究室(ラボ)がある。そこへ向かう」 「歩いて行くのはさすがに時間がかかる。ここはまず駅を目指すぞ」 ボス戦前 場所:ビル街 上条当麻「ちょっと待て」 ウサミミ「クク、どうした。友人を見る目ではなくなっているようだが」 上条当麻「……お前達、病院で何をやった?」 ウサミミ「まーたそこか。そもそも私達は失敗したよ。中には踏み込んでもいない」 上条当麻「何をやった、って聞いてんだよ!」 プレイヤー「……」 ウサミミ「チッ、寝言にはつきあってられん」 「……面倒だ、お前の『幻想片影』で黙らせろ」 ボス戦 戦闘前 戦闘後(勝利) 戦闘後(敗北) ED 場所:ビル街 上条当麻「はぁ……はぁ……っ!!」 ウサミミ「何だこいつ、どれだけやっても倒れん、だと!?」 「おい、お前は上条当麻を押さえつけろ。私がとどめを刺す」 プレイヤー「……」 ウサミミ「お前は巻き込まんよ。きちんと押さえ込めばな」 上条当麻「……アンタに近づけて良かった」 プレイヤー「?」 上条当麻「お前が御坂妹に渡したメモは読んだよ」 「だけど準備に時間がかかる。辛いだろうがもう少し、あいつに従うふりを続けてくれ」 ウサミミ「行くぞ!しっかり押さえつけていろよ!!」 第13話「成長の兆し」 OP 場所:路地裏 プレイヤー「……」 ウサミミ「ようやく目を覚ましたか。攻撃の余波で気を失うとは、軟弱だぞ」 プレイヤー「……?」 ウサミミ「ああ、ある取引の電話を少しな。この街の『闇』のいくつかが私達に興味を持っているようだ」 「当然、こちらも貴重な『幻想片影』を公開するつもりはない」 「金食い虫どもを焚きつけて、追っ手と共倒れしてもらうとしよう」 プレイヤー「……」 ウサミミ「……ん?駅の方が騒がしいな。さっきの騒ぎを聞きつけ警備員(アンチスキル)が来たか」 「仕方ない。時間はかかるが徒歩で研究室を目指すとしよう」 ボス戦前 場所:市街地 ウサミミ「チッ、誰かが追ってきているな。――いるのは分かっている、姿を現せ!」 オリアナ「あら、バレていたのね。……私は『オリアナ・トムソン』。あなた達を倒しにきたのよ」 「それにしても、お姉さんみたいな囚人が再利用されるなんて、あなた達一体何をしたのかしら」 ウサミミ「ふん、魔術側、か」 「お前のような小者が今さら出てくるような舞台ではない。死にたくなければうせろ」 オリアナ「魔術サイドにも魔術サイドの事情があるの、と言いたいけど」 「あなた、不思議なポジションに立っていそうよね」 ウサミミ「……殺せ」 ボス戦 戦闘前 戦闘後(勝利) 戦闘後(敗北) ED 場所:市街地 ウサミミ「知っているか?ヤツらは自らをプロの魔術師と名乗るそうだ」 「特別な力を持ったとはいえ、ただの学生が退けるとはな」 プレイヤー「……」 ウサミミ「大分慣れてきたか?『幻想片影』の精度がかなり向上しているようだが」 「いいぞ、これで私の目的に一歩近づけたと言って良いだろう」 「逃げ回るだけに注力しても仕方がない。この調子で実験も進めていこう」 第14話「準備完了」 OP 場所:路地裏 ウサミミ「ふうん。警備員の数が増えてきたな。そろそろ本気で警戒され始めたか」 「だが遅い。そろそろ私達とコンタクトしたがっている『闇』の金食い虫どもが動き出す」 プレイヤー「……」 ウサミミ「街中がパニックになれば警備網もズタズタになるだろう」 「さあ、その光景を堪能する為にも、研究室へ向かうとしよう」 ボス戦前 場所:公園 黄泉川愛穂「ちょっとそこの二人、待つじゃんよ!」 ウサミミ「ふん、警備員か。嵐の前の静けささえ気づかんとは大した平和ボケだ」 黄泉川愛穂「私は警備員の『黄泉川愛穂』。あちこちで起きている傷害事件の参考人として、話を聞きたいじゃんよ」 ウサミミ「ふはっ!よもや、まだその段階の敵が出てくるとはな。圧倒的に情報が古いぞ警備員!」 「だがやる事は変わらん。立ち塞がる以上は排除させてもらうぞ」 ボス戦 戦闘前 戦闘後(勝利) 戦闘後(敗北) ED 場所:公園 黄泉川愛穂「チッ、報告通りじゃん。これじゃ束になっても敵わない」 ウサミミ「報告、か。心当たりはいくつかあるが……」 プレイヤー「……」 黄泉川愛穂「すぐに追う」 ウサミミ「遠足のお弁当でも作ってくれるのか?失せろ」 プレイヤー「……?」 『準備完了』 ウサミミ「何してる。早くここを去るぞ」 第15話「救出作戦」 OP 場所:ビル街 ウサミミ「研究室はこっちだが……その前に」 プレイヤー「……?」 ウサミミ「ここから先は警備ロボットが多い。電子的な細工をしてから進むとしよう」 「ん?くそ、安物め。USBメモリを認識しないな。パソコンの端子が摩耗したか?」 プレイヤー「……」 ウサミミ「これで……よし」 「警備ロボットは心配ない。先へ進むぞ」 ボス戦前 場所:ビル街 黄泉川愛穂「全員動くな!」 上条当麻「もうこれ以上、好き勝手させるわけにはいかない!」 御坂美琴「この辺で全部終わらせてやるわ」 ウサミミ「おやおや。誰からぶちのめしてほしいんだ?」 「何でも良い。とにかく全員……」 プレイヤー「……」 ウサミミ「おい、何だ?……まさか」 黄泉川愛穂「そこの学生!早くこっちへ!」 上条当麻「アンタが無理矢理戦わされているのはメモで知った。これ以上やる必要はねえ!」 ウサミミ「……やってくれたな。だが学習しろ。お前は犠牲を増やしただけだぞ!」 ボス戦 戦闘前 戦闘後(勝利) 戦闘後(敗北) ED 場所:ビル街 ウサミミ「……驚いているか?」 プレイヤー「……」 ウサミミ「私がお前に求めているのは単純な強さじゃない。そんな簡単なもの、すでに私が手に入れている」 「私を失望させるな」 「お前には、もう少し有意義な結果を求めているのだからな」 「そろそろ次の超能力者とぶつけてみても良い頃合いか。『幻想片影』も肥大しただろうしな」 「第四位か、第二位か。相性を考えると第五位と第七位はまだ危険だろうが、さて」 プレイヤー「……」 ウサミミ「怖いのか?超能力者と激突するのが?激突に耐えられる力を持つのが?」 「だが忘れるな。善悪はどうあれ、ここで退けばお前も惨めな無能力者に逆戻りだぞ」 「……ん、少し待て。電話が来た」 コメント ボス戦以外追加 -- 管理人 (2013-04-01 22 24 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/694.html
【種別】 二つ名 【初出】 十二巻 【解説】 学園都市の七不思議に指定される小萌先生の二つ名。 黄泉川愛穂の優に五倍は喫煙する為に付けられたらしい。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/969.html
一方通行「いてて…、いきなり空中に飛ばすとかヘタしたら死ンでるぞ結標の奴…」カツカツ prrrr 一方通行「ン?土御門か」pi 土御門『よぉ一方通行。魔女退治とやらは順調か?』 一方通行「まァな。ンで何かわかったかァ?」 土御門『あれ?子供の声じゃなくなってるな元に戻ったのか?』 一方通行「あァ、三下のそげぶが効いてラッキーだったぜ」 土御門『チッ…アルビノショタメイド一回拝んでみたかったにゃー』 一方通行「あ゛ァ!?」 土御門『こっちの話だ。それより、メールに添付されてた動画観たんだが』 一方通行「おォ…どォだったよ」 土御門『笑い殺す気かwwwwww腹筋がさらに割れるとこだったにゃーwwwww』 一方通行「オマエそれ以上腹筋割ってどォすンだよwww」 土御門『結標www変身のエフェクトと共にキメポーズとかwwwアレは耐えられんぜよwww』 一方通行「思い出させンなバカwwwヘタしたら呼吸止まって死ぬぞ俺wwww」 土御門『お前虚弱だもんなwwww』 一方通行「うるっせェwww」 土御門『で、お前の言う魔女及び魔法少女についてだが』キリ 一方通行「おォ」キリ 土御門『変身して武器を自在に出す…これは魔力を物質に変えているという事だろうな』 一方通行「能力で物質を生み出すのはかなり難しいはずだが魔術ではどォなンだ」 土御門『相当力の強い術士ならあるいは、といったところだろうな。それも大掛かりな準備が要る』 一方通行(ピョン吉はあっさり魔力をソウルジェムに形成していた…かなりの力を持ってると考えるべきか) 土御門『魔術ってのはいつでもどこでも気軽に使えるものじゃないからな』 土御門『逆に言うと、術具や気象や日時とかの条件をそろえば素人でも強力な術を使う事もできる』 一方通行「ン?道具はわかるが、日時が関係するってのはどういうことだ?」 土御門『例えばもうすぐ「ワルプルギスの夜」と呼ばれる魔術的に大きな意味がある日が来る』 一方通行「ワルプルギス?ゲーテの戯曲だったか」 土御門『聖人の名前が元ネタだ。その聖人の誕生日であり、神がルーン文字の知識を得る為死んだ日とされている。 その夜は死者と生者との境が弱くなることを利用し蘇りや死者への干渉を可能とする術式や(ry』 一方通行「あァ、そのヘンはワケワカランからもォいい」 土御門『せっかく北欧神話を陰陽道に絡めての術式構築まで講釈してやろうとしたのに冷たいにゃー』 一方通行「魔術なンざ詳しく知ったらかえって危ねェだろォが」 土御門『まあ、そういう特別な日は魔力が高まったり術の効力が上がったりするってことだ』 一方通行「ふゥン。魔女も魔法少女もそォいう日は魔力が強くなったりするのかねェ」 土御門『「活かし方」を知っているかによるが…そうだな、ワルプルギスの夜はヘクセンナハトとも言うな』 一方通行「Hexennacht(魔女の夜)?」 土御門『魔女が集まり酒宴をするという伝承があってな。その伝承にかけて混乱を引き起こす術や(ry』 一方通行「薀蓄はいいっつゥの」 土御門『少しくらい付き合ってくれてもいいと思うんだが…あと、魔女の被害の件』 一方通行「ヤツら異空間に隠れてやがったが、痕跡は辿れそうだったか?」 土御門『それが全くわからなかった。結界を張る場合は何らかの痕跡が残るのが普通なんだが』 一方通行「なンだよ使えねェな」 土御門『そう言うなよ。今までの魔術とは全く違う方式の術とでも思わんと説明がつかない状態だ』 一方通行「そォいやあのケモノ、未知の物質で構成されてたしなァ」 土御門『きっと宇宙人の仕業に違いないぜい!』 一方通行「言ってろ」 土御門『冷たいにゃー今夜は舞夏も来なくて寂しいんだぜい……』 一方通行「気持ち悪ィィこれ以上どォでもいい話が続くなら切るからなァ!」 土御門『待て待て別件だが話がある!ちょっと問題があってな頼まれてくれないか?』 一方通行「くだらねェ事だったらお断りだ」 土御門『これが結構な大問題でな。第三次世界大戦に間に合わなかった新兵器の在庫がかなりの数あるだろ』 一方通行「どこの学区で保管するかご丁寧にテレビでアナウンスまでしてやがったなァ」 土御門『警備員だらけの第2学区や空軍基地だらけの第23学区に侵入しようなんて普通思わないからな』 一方通行「ヘタに他の学区を嗅ぎまわられる方が面倒だって事か」 土御門『で、昨夜その倉庫からいくつかの兵器が盗まれた』 一方通行「はァ?学園都市の警備はそこまでザルだったのかよ?」 土御門『それが警備網に全く引っかかってないそうだ。セキュリティをハックした形跡も無しだと』 一方通行「……空間移動系の能力者か?」 土御門『当然AIMジャマーも設置してあるから考えにくいな』 一方通行「ならオマエの領分じゃねェのか?魔術でも姿消したり物運んだりくらいできるンだろ」 土御門『魔術はそれ程万能って訳じゃない。対戦車駆動鎧を気取られず盗む程の術なら多少の痕跡が残る筈だ』 一方通行「オイオイなんつゥモン盗まれてンだよシャレになンねェだろ」 土御門『だから大問題だと言っている。ただ、本体は盗まれたが制御用チップや弾薬は別保管してあってな』 一方通行「気がついた犯人がもう一度盗みにくる可能性があるって事か」 土御門『そういう事だ。能力者か魔術師か単なる大泥棒かは不明だが、全部対処出来るのはお前くらいだろ』 一方通行「めんどくせェ事押し付けやがって」 土御門『そう言うな。上層部が土下座する勢いで泣きついて来たから思いっきり吹っかけてやったぜい。 バックアップはする。キッチリ報酬を出すから頼むぜ、もちろん成功報酬だがな』 一方通行「中抜き便利屋がずいぶンえらそうだなオイ。犯人は生け捕りすりゃァいいンだろ?」 土御門『盗んだブツの在り処を吐かせられたら死体でもいいが、処理が面倒になるからな。生きてた方がいい』 一方通行「素直に吐くとも限らねェしなァ、了解。つゥかオマエはいつまでこンな闇に片足突っ込ンでるつもりだ」 土御門『しがらみは無くとも一度構築した実入りのいいツテは簡単には手放せないな』 一方通行「そこまで金に困ってる訳でもねェだろォが」 土御門『オレには壮大な夢があるんだぜい!あらゆる要素を網羅したメイド服専門店を立ち上げるという』プツッ 一方通行「くっっっだらねェェ…」ハァ 一方通行「また残業かァ…俺もずいぶンと奉仕精神溢れるようになっちまったもンだ」カツカツ 一方通行「……カエルの店で買った物が邪魔すぎる……」ガサガサ 一方通行「先にガキ共に渡しに帰るかなァ」カツカツ ~~ 黄泉川家 ~~ 一方通行「はァしンど…」ガチャッ 打ち止め「おかえりなさーい!ってミサカはミサカはどーん!」ドカッ 一方通行「うォあっ?」ドテッ 番外個体「ぎゃははは!幼女にマウントとられちゃう第一位ってかあ!ウケるんですけど!」 打ち止め「と言いつつ玄関までお出迎えする番外個体なのであった、ってミサカはミサカはナレーションしてみる」 番外個体「ち、ちげえし!ミサカは一日に2回も騎乗位されちゃうモヤシを笑いに来ただけだもん!」 一方通行「いいからどけ」 打ち止め「ええー10032号は累計300秒以上座ってたのに!ってミサカはミサカはずるい!って訴えてみる!」 一方通行「なンで知ってンだよ!?10032号とネットワーク繋がってたのか?」 打ち止め「そりゃそうだよ、ってミサカはミサカは上位個体のお仕事をアピールしてみたり!」 番外個体「ヒキニートがやっとバイトに出たんだもん、そりゃー幼女だって心配しちゃうよね」キャハハ 打ち止め「10032号の様子がおかしかったからモニタしてただけもん、ってミサカはミサカは弁解してみたり。 ノイズが多すぎて何してるのかよくわからない時間帯があったんだけど……」 番外個体「なーんか外部からの干渉があったみたいなんだよね」 一方通行「何!?オマエらは大丈夫なのか?」ガバッ 打ち止め「う、うん、影響があったのは10032号だけだったんだよ、 ってミサカはミサカはあなたに心配してもらって嬉しさを隠せなかったり」エヘヘヘ 番外個体「ミ、ミサカはあなたに心配される程マヌケじゃないんだからねっ」テレテレ 一方通行「わかったからどけ」 黄泉川「おー!一方通行おかえりじゃん!仕事はどうだった?」 一方通行「色々めンどくせェ…またすぐ出る」 芳川「あら、じゃあなんで帰ってきたの?」 一方通行「オマエに言われるとなァンか引っかかるンだよなァ…荷物を置きに来たンだよ」ドサ 打ち止め「ええー?!一緒にごはん食べようよー!ってミサカはミサカは駄々をこねてみたり~」ジタバタ 一方通行「うるせェ!コレやるから大人しくしてろ」ガサ 打ち止め「なに?ってミサカは…わああ!ケロヨン着グルミパジャマだー!ってミサカはミサカは大歓喜!」 黄泉川「初任給で家族にプレゼントかあ、いいとこあるじゃん!」ニヤ 一方通行(初任給…?ってそォいやQB手伝っても給料なンて貰ってねェなァ。今度ゆすってみるか) 打ち止め「ねえねえ着てもいいかな?ってミサカはミサカはソワソワしてみる!」ワクワク 黄泉川「肌に直に触れるし一回洗ってからにするじゃん」 打ち止め「ええー…ってミサカはミサカは不満を表明してみたり」ブー 一方通行「少しくらいガマンしろ」 番外個体「さぁすが親御さん過保護全開!この子だけにお土産ってか!まあミサカはカエルなんてゴメンだけど!」 一方通行「あァ、オマエはいらねェのか」ガサ 番外個体「え!?ミサカにもあるの?」 一方通行「オマエのことだからずるいとか言いだすかと思ってなァ。でもいらねェよなァカエルだもンなァ」 打ち止め「わあーピョン子スリッパだ!ミサカも欲しいってミサカはミサカは番外個体がいらないなら 番外個体「いる!いるってば!」バッ 一方通行「あれェ~?ワーストさンはカエルなンてゴメンなンじゃなかったンですかァ?」 番外個体「う…いいの!だってこれはピンクでミサカのアオザイとも合うし」ケロケロ 打ち止め「歩くと鳴き声がするんだね、ってミサカはミサカは耳をすませてみたり」 番外個体「ほんとだあ!なにこれなあにこれ、第一位趣味わっるーい!」ケロケロケロ 一方通行「スリッパから音が出るなンて知るかよ」 番外個体「人にあげる物ならもうちょっと良く見て買うよね普通!信じられないんだけど!」ケロケロケロケロ 打ち止め「いらないならミサカが 番外個体「いらないとは言ってないし!ちょうどスリッパ欲しかったところだし!」ケロケロケロケロケロ 一方通行「ケロケロうるせェからじっとしてろ」 打ち止め「ケロケロかわいいから仕方ないのだ、ってミサカはミサカは擁護してみる」 番外個体「違うもん歩かないといけない用事があるだけだもん」ケロケロケロケロケロケロケロ 芳川「……相当気に入ったみたいね?」 黄泉川「いいことじゃん。あー私もネトゲニートさんから初任給でプレゼント貰いたいなあ~」チラチラ 芳川「あ、そろそろクラハンがあるからログインしなきゃ」 一方通行「黄泉川はコレなァ」ポイ 黄泉川「え!私にもあるじゃん?カエル型のしゃもじかあ~かわいいじゃん」 打ち止め「これでごはんよそって貰ったらきっとおいしさ倍増だよってミサカはミサカははしゃいでみる!」 芳川「一方通行、私には?」 一方通行「ずいぶンと図太いニートだなァ……ン」スッ 芳川「ブックカバーね、ありがとう。攻略本にでも使おうかしら」ペラ 『TOWNWORK学園都市 第七学区版』 芳川「」 一方通行「働け」 一方通行「ンじゃ行ってくる」 打ち止め「えうう…せめてごはんだけでも一緒に食べようよー、ってミサカはミサカは懇願してみる」 番外個体「これ以上モヤシになったらどうするつもりかにゃーん?虚弱度第一位も狙うってかあ?」 黄泉川「こらこら仕事だって言ってるんだから引き止めたらダメじゃん」 芳川「懐かれてるわねえ“お父さん”は」クスクス 打ち止め「お父さんじゃないもん、ってミサカはミサカは…あ、でもお父さんって呼ぶ場合も…」ブツブツ 番外個体「違うってばミサカはこんなヒョロいの潰したって面白くないから」アセアセ バタン 打ち止め「行っちゃったー!ってミサカはミサカはスルーされた事実にショックを受けてみたりー!?」 番外個体「何アレ!?せっかくミサカがかまってあげようとしたのにさー!」 芳川「ほほえましいわね」ウフフ 黄泉川「で、桔梗はいつから働くじゃんよ」 芳川「季節の変わり目は体調を崩しやすい。5月から本気出す」キリッ 黄泉川「……ほんとじゃんね?」